冬と春の区切り目、節分。毎年なんとなく豆を撒いたり、食べたりしていませんか?今回は節分の由来と豆まきの意味を知り、しっかり福を招き入れましょう。縁起物の豆のおすすめの食べ方もご紹介します。
節分とは本来、立春・立夏・立秋・立冬の前日のことで、年4回あります。現在の時期に定着したのは、旧暦では立春が新年の初めだったため、立春の前日、すなわち旧暦の大みそかの節分が最も重要であったからと言われています。古来季節の変わり目は邪気が入りやすいと考えられており、鬼を払い福を招き入れる行事として、節分は現代まで続く日本の伝統行事として大切にされてきました。
ここで言う鬼が表すものは病や災害、そして自分自身の中にある煩悩であると言われています。煩悩とは仏教の言葉で、欲望や妄念を表し、人の中には108つあるとのこと。これは除夜の鐘が108回鳴らされる由来にもなっています。
鬼を豆撒きで払い、新しい年をキレイな心で健康に迎えたいという願いが込められた節分。次に迎える節分は、自分の心に向き合い、しっかりと鬼(煩悩)を払ってみるのもいいですね。
実は仏教の考え方では、鬼の色にもそれぞれ意味があります。この意味は仏教の五蓋(ごがい)に由来します。五蓋とは、仏教の瞑想修行を邪魔する5つの煩悩のことで、「貪欲(とんよく)」、「瞋恚(しんに)」、「掉挙(じょうこ)・悪作(おさ)」、「惛沈(こんちん)・睡眠(すいみん)」、「疑(ぎ)」があります。これらの5つの煩悩が赤鬼、青鬼、黄鬼、緑鬼、黒鬼に当てはめられており、豆撒きの際には自分が打ち勝ちたい煩悩の色の鬼に豆を投げると良いと言われています。
・赤鬼
「貪欲(とんよく)」:欲望や渇望など強い欲望を表し、すべての悪の象徴
・青鬼
「瞋恚(しんに)」:悪意や憎しみ、怒りなどの象徴
・黄鬼(白鬼)
「掉挙(じょうこ)・悪作(おさ)」:浮ついた心や甘え、後悔の象徴
・緑鬼
「惛沈(こんちん)・睡眠(すいみん)」:やる気が出ない、倦怠、眠気、不健康、沈んだ心などの象徴
・黒鬼
「疑(ぎ)」:疑心暗鬼、疑い、愚痴などの象徴
節分で赤鬼のお面がメジャーなのは、すべての悪の象徴だからという理由があったのですね。鬼の色の意味を理解し、心の煩悩を取り除いて、澄み切った春を迎えましょう。
ここまでは節分と鬼についてご説明しました。しかし、なぜ鬼を追い払う物が豆なのでしょうか。
小豆島の長勝寺によれば、「昔、京都の鞍馬に鬼が出たとき、毘沙門天のお告げによって大豆を鬼の目に投げつけたところ、鬼を退治できたという話が残っており、「魔の目(魔目)」に豆を投げつけて「魔を滅する(魔滅)」に通じることが豆まきの由来」とされています。(より)
その他には大豆は鬼毒を消して痛みを止めると、中国の医書 「神農本草」に書かれていたことに由来するとも言われています。
炒った大豆を使うのにも理由があります。生のままだと拾い忘れた時に芽が出てくる可能性があり、邪気が芽を出すとして縁起が悪いとされているためです。それに生だとお掃除も大変そうですよね。
節分で豆を撒いた後に豆を食べることを年取り豆と言います。年の数として満年齢に新年分としてプラス1粒の数の豆を食べることで、新年の厄払いが出来ると言う習わしです。
ただ、年々増えていく豆の数、豆撒きをした後はたくさんの豆が残ってしまう、などの理由で食べきれずに困ることもあるでしょう。そんなお悩みを解決してくれるのは、新年の季語にもなっている福茶です。作り方は湯呑に豆、昆布、梅を入れ、煎茶または湯を注ぐだけというお手軽さ。喜ぶという意味の昆布、おめでたい時に使われる松竹梅の梅、まめまめしく働けるという意味の豆が入る、平安時代から続く縁起物のお茶です。
そして福茶のお供に節分豆の甘辛煮も簡単で美味しいですよ。
お鍋に同量の砂糖、酒、醤油、みりんを入れ、沸騰したら節分豆を加えて、煮汁がなくなるまで煮詰めて出来上がり。おやつにもおかずにもなる一品です。是非試してみてください。
次の節分は鬼の色をしっかりと決めて豆撒きし、福茶と節分豆の甘辛煮で、縁起良くお過ごしください。
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